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国際結婚夫婦の韓流日記@ブリスベン


by Ichurch_Taka77
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とある朝の出来事:やさしい妻の気配り



  その日の朝は、最近の天気にしては、めずらしく肌寒い朝であった。

夏用の掛け布団で寝ていた私たち夫婦は、その薄っぺらい布団を力

のごとく奪い合っていた。私はその“無意識のうちに行われた戦争”に負けたのか、

肌寒い思いをして何度か目覚めた記憶がある。その戦争に勝ち誇った妻は、

おそらくきもちが良い目覚めだったのであろう、

そしてさぞかし良く寝れたのであろう、私より数十分早く起きていたようだ。 

就寝中、寒くて度々起きた私はまだ寝たりなく、

妻が起きた後も少々の間寝ていた。

そして寝ぼけている私に妻はこう話かけてきた「昨夜はとっても寒かったね。

この布団じゃ足りなかったよ。今、外は天気が良い晴れだけどまだ寒いね。」

寝たりなく寝ぼけている私にはその理由の半分が“布団奪い合い戦争”

に負けたせいであることへの反論はもちろんできなかった。

ただ単に寝ぼけながらにも「そうだね、寒いね」としか言えなかった。 


すると妻はそんな寒がっている私に、結婚7年の妻の愛情とでも言うのか、

彼女は私の手にやさしく、そっと“てぶくろ”をつけてくれた。

なんと心の優しい妻なのであろう、気温が低い朝に、先に起きて、

私を気遣い、私の手に“てぶくろ”をつけてくれるとは。 

妻のやさしさに寝ぼけながらも感動している際には、

1年中温暖なブリスベンに住む私たちには“てぶくろ”というものを

持ち合わせていない事なんぞ頭のすみにもなかった。 


そんな妻のやさしさにひたりながら私はもう少しの間、寝ていた。

その“てぶくろ”は表面がぬいぐるみのウールのようにふさふさしていて

とても肌触りがよく気持ちが良いものであった。

寝ぼけて寝続けていた私はそれをきもちよさそうに

自分の顔につけていた。 


妻のやさしさに心は温まり、妻がつけてくれた“てぶくろ”

で手は温まり、その“てぶくろ”でなでた顔は気持ちよく温まり。 


それはもう幸せな結婚生活7年を象徴するかのようなモメントであった。

そんな幸せモードにいた私はさぞかし気持ちよさそうな顔

をしていたのであろう、私もそんな顔をしていたような気がする。 

そんな幸せモメントもそろそろ終わりにしなければいけないなと

脳裏のどこかが思い始めた頃、“現実の世界”が騒々しくなった。

一瞬それは目覚まし時計かなと思ったがいつもの音とは違う。

私の寝ぼけモードが段々と解消された時、それは妻の笑い声だと気づいた。 


私は妻の笑い声にて、妻の幸せモードから目覚めてしまったのである。 

そして私の意識が現実のそれとなったとき、目の前で妻が涙を流して腹

をかかえて笑っていた事に気づいた。 


そしてこう言った。「Takaさん、幸せそうな顔して、大きなくまがねそべって、

ねこちゃんみたいに手をなめてた~。 ギャハハハ~」 


夢から覚めたばかりの私はまだ現状把握というものができてなかったが、

それでも、妻の愛情に答えるがごとく「そりゃ君のやさしい愛情が

この俺の“手をつつみ”朝のうたたねができれば世界中の男、

誰だって幸せ顔になるだろう」と私にはまるで似合わない、

なにかトレンディードラマの台詞みたいな事を言おうとした

その瞬間、なぜ妻が涙を流しながら大笑いしている、

“その理由”が分かった。 


結婚を7年もすればこんな愛情表現もあるものであろうか・・・・・


私の手には、妻が昨日、1日中履いていた“くつした”が両手についていた・・・・・


by ichurch_taka77 | 2011-04-23 21:49 | とある朝の出来事